そもそもどうして僕が、藍原の色恋的な話を聞かなきゃならないんだよ。
僕たちは、そんな話をするような仲じゃないし。
怒りをあらわにする藍原の肩を、笑いながらポンポンと叩く小武は、
「やっぱ茅影ちょっと変わったよなー」
「……そう?」
「前とは見違えるほどに」
おかしそうに藍原の肩に腕を置いて、な?と同意を求めるけれど、うっせ、と言ってふてくされる藍原。
「……暗くて影が薄かったからって性格ひねくれすぎだろ」
ボソッと呟いたそれは、間違いなく僕への挑戦状のようなものに聞こえて。
「そうさせたのは藍原たちでしょ」
売り言葉に買い言葉で応戦する。
言われっぱなしじゃ癪だから僕だって言い返すんだ。もう、今までの僕じゃない。
「はぁ? なんだと…!」
逆上した藍原は、僕に詰め寄ろうとするけれど、まあまあまあ、と間に入った小武によって間一髪言い争いは免れた。
「おまえ、どっちの味方なんだよ!」
今度は小武に詰め寄ると、んーそうだなぁ、と腕組みをしたあと、
「しいていえば、俺は中立な立場かな」
「は? いや、友達なら俺のこと守るだろ。なんで、中立なんだよおいっ」
「確かに藍原と友達だけど、でも俺、茅影とも友達になったから」