「あれー、二人仲良くなったのか?」
あっけらかんとした声が聞こえて、視線を向けると、小武が僕たちのそばにやって来た。
「は? 仲良く?」
「だって、おまえたちが一緒にいるって珍しいだろ」
小武が藍原と僕を交互に見ながらそう言うから、ちげぇよ、と藍原が言い返したあと誤解を解くように、
「俺はこいつにこれ返しに来ただけ」
僕の机に置いてある文庫本に指を落した。
「なぁ、そうだよな?」
突然、僕に話を振るから、へっ、と声がもれる。
「そうなの? 茅影」
「え? …あー、うん」
確かに、文庫本を返しに来ただけだ。
けれど少し前まで三日月さんの話もしていた気もするけれど。
ふーん、と僕から藍原へと視線を戻す小武は、でもさ、と口を開いて、
「藍原、今笑ってただろ」
「おー、まぁな」
「何で笑ってたんだよ」
僕の前で会話は続くから、できればよそでやってほしい、と頬杖をつきながら小さくため息をついた。
すると、茅影が、と僕を指さす藍原の声に反応して、え、と困惑した声をもらすと。
「堂々と俺の前で本音晒すからさー」
「本音?」