「いや、だって……自分でツンしかないだろ、って。しかも、そのあとにノリツッコミまでしてるから……」


笑いを堪えながら喋っていたのが限界にきたのか吹き出したように、プッ、フフフッ、と聞こえた声に僕は、カァッと反応した。

しかも、僕は最悪なことに、


「……口に出して言ってたのか……?!」


ベッドの上でわずかに跳ねて尻餅をつくと、気づくの遅いよ、とボソッと隣から聞こえた。

うわ、最悪だ。よりによって一番聞かれたくなかった相手に聞かれたなんて……


「向葵くんって結構抜けてるところあるよね」


そんな僕を嘲笑うかのように告げられた言葉に、返す気力さえ残っていなかった僕は、


「……うるせー」


たった一言、そう返すのがやっとで。

カーテンが閉められているから見られる心配もないのに、僕は、薄い毛布を頭まで被った。

そんな僕を知ってか知らずか、


「ツンもあってデレもあった方が私は人間らしくて好きだよ」


フォローまがいなことを告げられる。

けれど僕は、全くべつのものに聞こえて。

一瞬、告白のようなものと錯覚してしまう。


でも、僕だ。
この僕が、誰かに告白なんてされるはずない。


「……べつに、嬉しくないし」


ツンだってデレだって僕にはない。人間らしくなんてなくていい。