動物ならもっとたくさんいるだろ。犬とか熊とか狸とか。それなのになぜ、ピンポイントに、


「……猫なんだよ」


たまらずツッコむと、え、と僕の小さな声を聞き取って、だって、と続けた彼女は、


「向葵くんの性格が猫みたいだったの。自分のテリトリーを乱す人はみんな敵みたいな感じで。ずっとバリアを張ってた。でもね、少しずつ心を解いてくれてたから、慣れてきたのかな?って思ったんだよね。そしたら、ああなんだ、ツンデレの猫なんだってピンときたの!」


まくし立てられるように告げられた言葉の半分も頭に入っていないようだったけれど、最後に聞こえた違和感のある言葉に「はぁ…っ?」と僕は反応した。


だって、三日月さんが今……


「僕がツンデレだって?!」


ふざけるな。好き放題言いやがって。

ていうか、


「僕のどこがツンデレに見えるんだよ! どこからどう見てもツンしかないだろ!」


ムキになって反発したあと、一瞬理性が戻った僕の思考回路には、

「いやいや、それも表現がおかしいな」

思わず、脳内でツッコんだ……つもりだった。


カーテン一枚隔てた向こうから、フッ、と笑い声がもれる。
それに気づいた僕は、


「……なんだよ」