今まで僕がどれだけ真面目に生きてきたのか。それは、まるで今日のためにあったかのように思えた。


「いつから痛むの?」

「さっきから急に…」


なんて嘘だけれど。

そう、と心配そうに見つめたあと、


「じゃあ、名前とクラスだけここに書いて休んでいいわよ」


言われた通りに記入すると、そっちのベッド使っていいから、とカーテンが閉められていない方を指さした。

僕は、お腹が痛いフリをしながらそそくさとカーテンを閉めて、ベッドに潜り込んだ。


第一関門をなんとか突破して、そこで、ふう、とひと息ついた。

けれど、問題はこれからだ。

どうやって三日月さんの安否を確認するかだけれど……。


「茅影くん」


突然、先生に名前を呼ばれてどきっと緊張して返事をすると、


「先生これから職員室に行って来るけど、誰か来たらそう伝えてくれるかしら?」


カーテン越しにそう告げられる。

僕は毛布から顔だけを出して、分かりました、そう返事をすると、じゃあお願いね、と言って保健室を出た。


「あっっつ…!」


先生が出て行った途端、僕は暑さの限界で毛布を剥ぎ取って起き上がる。

窓が開いているからといっても、そこからは生ぬるい風しか入って来なくてとてもじゃないけれど涼しいとは言えない。