私が好意を寄せている男性は、アパートの隣の部屋に住んでいる。
 須藤(すどう)仁志(ひとし)さん。キリッとした目が特徴のイケメン。

 今年で社会人二年目だ。修士課程に進んでいるので、社会人四年目の私とは同い年。そこそこ名の知れた会社に勤めていて、今年の春に転勤で、私の住むマンションに越してきた。

 隣室である私の部屋に、彼が引っ越しの挨拶で訪れたとき、私の恋は始まったのだ。「これ、つまらないものですが。よろしくお願いします」と菓子折りを渡す彼に、思わず「いえ、こちらこそ。ふつつか者ですが、よろしくお願いします」と言ってしまいそうになった。

 ゴミ出しのときに何度か言葉を交わし、おかずを作りすぎてしまったのでもらってください大作戦を数回決行した。

 休日には何度か二人でデートらしきものをして、いい感じの雰囲気になっている。
 今までの男運のなさが嘘のようだった。きっと神様も私に同情したのだろう。

 このまま順調にいけば、私の気持ちに応えてもらえると思う。それどころか、彼の方から情熱的な愛の告白なんかされちゃったりなんかしちゃったりしてふひひひひ……。

 まあ、なんやかんやあって付き合い始めた私たちは、二年の交際を経てゴールイン。彼からのプロポーズの言葉はどんなのだろう。うん、色々と想像しただけでヤバい。今ならトリプルアクセルできそう。あと、新婚旅行はヨーロッパを希望。