サボテンの花言葉は〝枯れない愛〟。
 須藤さんはそのことを多分知らない。
 彼の妹は、もしかしたら知っているのかもしれない。

「あはは。大げさだな」
 私の答えを聞いた須藤さんが、控えめに笑う。その表情からは安堵がうかがえた。

「すみません」
 顔が熱くなる。

「あの、天乃宮さん」
 須藤さんは真剣な目で私を見つめる。

「は、はい」
 声が上ずった。心臓は激しく脈を打つ。

 もう期待しないって決めたのに。世界だって滅びるのに。

 彼の口から出たのは、
「よかったら僕と付き合ってください!」
 私の一番欲しかった言葉で。

 そして、願いが叶ったことに気づく。

 ──私より幸せな人を全員消してください(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 たしかにこの瞬間、私は世界で一番幸せだ。