近所のスーパーからの帰り道。夕方にもかかわらず太陽は燦々と輝き、身も心も温かくしてくれる。
歩きながら、うっすらと額に浮いた汗をぬぐった。
夏は私の一番好きな季節だ。その理由は二つある。
まず一つ。夏には、クリスマスもバレンタインデーもホワイトデーもないからだ。
それなら花火大会はどうなの? という疑問もあるかもしれない。
花火大会といえば、浴衣を着たカップルが「花火、綺麗だね」「君の方が綺麗だよ」なんて会話を交わしてキャッキャウフフするイベントだと勘違いしている人がいるようだが、実際は違う。
花火大会は花火の音に合わせて、カップルを射殺する妄想をしてキャッキャウフフするためのものである。このとき、どちらか一人だけを殺して二人を引き裂くのがポイントだ。
近所の花火大会の会場は毎年、血と悲鳴と涙で、阿鼻叫喚の地獄絵図になる。あくまで、私の妄想の中でだけど。
そして理由の二つ目は、男性が薄着になるから。
私は腕フェチなのだ。
特に、筋肉質な腕に浮き出る血管といったら、最高以外の何物でもない。
ああ、想像するだけで興奮してきた。
夕焼け空にかかるひこうき雲さえ、腕の血管に見えてくる。うへへへ。
どうやら私の思考回路にも欠陥があるようだ。