あまり待たせるわけにもいかないので、仕方なくドアを開ける。
「どう……したんですか?」
 ゆうべはおたのしみでしたね。なんて台詞が出そうになるが、グッとこらえる。

「昨日のこと、何か勘違いしてるんじゃないかって思って」
「勘違い?」

「あ、いや。とりあえず聞いて。昨日一緒にいたのは……」

 あの子はただの友達だとでも言うのだろうか。
 家まで連れ込んだくせに。下の名前で呼んでたくせに。
 鼻毛抜くぞコラ。

「妹なんだ」
 
「妹……ですか?」
 その可能性には思い至らなかった。

「うん。三つ年下の」
「へぇ。可愛らしい妹さんですね」

 たしかに妹ならば、兄の部屋に泊まりにきてもおかしくはない。
 それに須藤さんは、器用に嘘がつけるような人じゃない。
 安心した。これで私の将来は安泰だ。ぐへへ。

 しかし残念ながら、私の軽はずみな発言により、もうすぐ人類は滅びてしまうのだ。

 それに、もう期待することは止めたのだ。

「てっきり彼女だと……。お似合いでしたよ」

 だから、そんな言葉だって吐けるし、自分自身の発言で傷ついたりなんかしない。

 そのはずだった……けど、どうしてこんなに心が痛いんだろう。もしかして、急性心不全……かな?