驚きとか身の危険とか、そんなことよりも、なにこの面倒くさい状況……という気持ちの方が上に来てて、私のリアクションは、バラエティ番組だとすれば放送事故レベルの薄いものになった。
「はぁ。なんでイケメンじゃないのよ。いや、たしかにキュートな顔してるし、私がもしロリコンだったらその姿は正解だけどさ」
つい文句を言ってしまう。
「ごめんなさい」
少女が悲しそうな顔をして謝った。
何だか悪いことをしている気になったが、むしろ悪いことをしているのは相手の方だ。どう考えても不法侵入だし。
「それよりあんた、どっから入ったの」
玄関の鍵を閉めた記憶はある。窓も開けていないはずだし、そもそもここは二階だ。少女が空を飛べれば話は別だけれど。
「そこ」
少女が指さした先には、穴の開いた窓と、粉々に砕け散ったガラス。
……おおう。私は上半身をのけ反らせる。予想外だった。
「怪我とかしなかった? ってかその前に、ここ、二階だよね。あんた何者?」
思わず不法侵入者を気遣う。
「わたし? わたしは神様」
ああ、神様か。なら空も飛べるはずだわ。君と出会った奇跡がこの胸に溢れないし、ずっとそばで笑っていてほしくもないけど。
神様……ね。んー、どうしよう。窓ガラス突き破ったとき、頭でも強く打ったのかなこの子。