ベットに寝転がると、スマホの着信が鳴り響いた。
職場の同僚、望からのメッセージ。
『今週の合コンのことなんだけど――』
そこまで読んで、私はスマホを床に放り投げた。
どうせ人数が足りないから来てくれ、という頼みだ。
望は、私よりもほんのちょっぴり綺麗でお洒落で若い。
いつもそうだ。望がセッティングする合コンは、女性陣の中で彼女が一番スペックが高くなるよう仕組まれている。
ぶっちゃけメイクなしだったら私の方がギリギリ勝ってるわ! 現代の進歩した化粧品たちに感謝しな!
あえて参加して困らせてやろうかとも考えた。合コンに参加して、場を荒らすだけ荒らして帰るシーンを思い浮かべる。
聞いてくださいよ。望、すごく貯金上手なんですよ。ご祝儀貯金っていうのしてるんです。え、どういう貯金かって?
友人に彼氏ができるたび、ご祝儀を用意して、その友人が別れたら用意したご祝儀を貯金に回すらしいんですよ。それで今、いくらだっけ? 二ヶ月前は三十五万とかだったっけ。あれ、もう四十万いった?
あら、もうこんな時間。わたくしはこれから趣味のクラシック鑑賞をしなくてはなりませんの。それではみなさんごきげんよう。おほほほほほほ。
凍りつく雰囲気
ドン引きする男性陣。
失墜する私の信用。
そんな妄想をしたら、少しだけスッキリした。
ちなみにご祝儀貯金の話を聞いて私も始めてみた。今は二十四万円貯まっている。
あと私の好きな音楽は激しめのロックだ。
今ごろ隣の部屋で、須藤さんと魅油寄(仮)は何をしているのだろう。イチャついているのだろうか。それとも、期限が明日までの時給四百円くらいにしかならないシール貼りの内職を必死でしているのだろうか。後者だったらいいのになぁ。
札束の入ったアタッシュケースのように見える天井のシミを見つめながら、無益な想像をする。
深い悲しみのどん底で、私は世界を呪った。