「もう一度言う。貴様は、誰だ?」

 キラ君は、負けじと何者なのか聞いてくれた。
するとクラマって人は、クスッとまた不敵な笑みを溢した。

「私か……?あぁ……そうか。
君は、まだ幼いから知らないようだね。獣族の元皇子様」

「……どういう意味だ!?」

 やはり獣族の人なのだろうか?
すぐにキラ君が元獣族の皇子様だと気づいた。
 その人は、クスクスッと笑う。
キョウ様に雰囲気が似ているせいか、妖艶な美しさがあるが、何だか怖く感じた。

「私も獣族だよ。ただ……封印されていたけどね?」

「……封印……!?」

 封印とは、どういうことだろうか?いつ?
誰の手で……?
しかしクラマって人は、フフッと笑った。

「遥か……昔。君らが生まれるずっと前の事だ。
 私は、獣族の長として君臨していた。
しかし妖精族のキョウ……彼は、それを許さなかった」

「キョウ様が……?」

「待て。そんな話は知らない。
 そもそも俺の親族は、皇族だ!
封印された奴が居るなんて……聞いたこともない」

 鞍馬って人の意見を真っ向から否定するキラ君だった。
それもそうだ。封印されたような事態なら、皇族であるキラ君が知らないはずがない。
 聞いたことぐらいはあるはずだ。
それに妖精族の方もそんな話を聞いたことがないわ。

「知らないのも無理はない。ずっと昔の事だからね。
その話をすること自体禁じるだろうね。
 君の皇族は、私が封印された後に創ったものだ。
皇族になった者からしたら伏せたいところだろう。
 それもそうだろうね。元々獣族は、キョウ……彼の手によって創りあげられたものだからね」

「……えっ?」

 獣族が、キョウ様の手によって創りあげたもの?
クラマって人の言葉に胸がドクンッと脈打つ音が聴こえてきた。