「しかし、このようなものを残すのは、あまりにも危険だぞ!?」

「私も反対だな。いつ牙を剥くか分からないものを残すなんて危な過ぎる」

 イル様の言葉にアルフレット様も同意する。
やはり四大臣達は、キラ君をいい風に思っていないようだった。
 チラッとキラ君を見ると怪訝な表情になっていたが、
ルイがキラ君の手を握っているから何とか抑えていた。
 するとキョウ様は、扇子を広げると口元を隠しながらクスッと笑った。

「今年の新年会は、随分と賑やかだのう。
まるで小鳥達がピーチクパーチクと鳴っているようじゃな」

 フフッ……と笑ったためイル様達は、肩をビクッと震わせた。
 他の人達も静まり返った。
さすがキョウ様だ。一瞬で周りを治めてしまった。

「……申し訳ありません……」

「何故謝るのじゃ?それもまた一興。
それに。私は、ただあの者達を呼んだ訳ではないぞえ?
 キラ、カレンは、私の娘と息子だ。
これからの活躍に大いに期待をしているから呼んだのじゃ。
 きっと私の期待に応えてくれるであろう……」

 その言葉は、私の心に大いに乗しかかってきた。
否定を許されないように言葉だった。
 前を見るとキラ君も真っ青になっていた。
キラ君もプレッシャーに感じたに違いない。

 キョウ様は、扇子をパチンッと閉じた。
すると参加者の盃が宙に浮いた。
 私とキラ君のは、ジュースが入ったコップだった。
そして私達の手に……。

「せっかくの祝いの場に堅苦しい話はなしじゃ。
皆の者。今宵は、飲んで楽しむのじゃ」

「は、はい」

 キョウ様の言葉に新年会が再開した。
まるで、これ以上その話をするなと言われているようだった……。

 新年会は、遅くまで行われた。
私とキラ君は、寝る時間もあったため早めに切り上げてもらったが……。
 しかし、キョウ様の言葉は、確かなものになったことは、その時の私は、知る由もなかった……。