ムカッとして飛びかかりそうな勢いのキラ君だったが、パッとルイが後ろに隠した。
「2人共喧嘩は、やめて下さい。
大司教様の前で失礼ですよ!?
それに兄さんも子供相手にムキにならないで下さい。
大人げない行為だと思いませんか!?」
バッサリと言い返すルイだった。
ルーカスって人は、フンッと言いながら眼鏡を上げた。
そして大司教様に頭を下げるとそのまま本家の中に入ってしまった。
何だかよく分からなかったが、嫌な人だと思った。
なるほど……あんな感じなんだ。
あんな嫌味を言われていたらルイも辛いよね。
彼の気持ちを考えると胸が苦しくなってきた。
キラ君は、ムスッとしながらルイの足のところで、しがみついていた。
ルイは、クスッと笑うとキラ君の頭をよしよしと優しく撫でていた。
「相変わらず嫌な奴だよな。ルーカスって」
「フフッ……彼もまだまだ未熟で幼いってことだろうのう。
若いことは、いいことじゃ。
いろんなことを経験し、成長していくからのう」
「成長しない奴もいるけどな……」
大司教様の言葉に呆れた表情をするシンだった。
だが大司教様は、笑っていた。
成長か……。
私もムカついたから、まだまだ未熟なのかと思うのだった……。
そして入る前にいろいろ遭ったが、改めて本家に入っていく。
大広間には、すでに何人か集まっていた。
す、凄い全員美形ばかりだった。
白銀の髪に金髪、少し薄い青い髪の人も居る。
どの人も妖精族なだけはあり、美しく輝かしいオーラを放っていた。
そして奥の上座の左右に座っていた2人の男性は、特に輝きを増していた。
白銀の髪を1つに結び、片目に眼帯をつけた20代ぐらいの男性。
そして金髪の短髪に頬に傷のある20代の男性だ。
明らかに他の正妖精とは、オーラが違う。
緊張しながら頭を下げると一番手前の下座に座らせてもらう。
私とシンが隣同士でルイとキラ君は、向かい側の席だ。
するとシンが、こっそりと……。
「カレン。入って一番奥の右側の上座に座っていたのが
アルフレットじじぃ。
その反対側……奥の左側がイルじじぃだ。
2人は、共精霊四大臣だから気をつけろよ?
色々とうるさいから……」