「おや、珍しい方々が集まっていましたね。
大司教様、明けましておめでとうございます」
振り返ると知らない白銀の髪で眼鏡をかけた男性が、こちらに歩いてきた。
しかし何となく雰囲気がルイに似ているような……?
「おや、ルーカスじゃないか。明けましておめでとう」
「に、兄さん……!?」
するとルイが、その人のことを兄さんと言ってきた。
えっ?じゃあ、この人がルイのお兄さんなの!?
確かに……雰囲気が似ているようだが。
だがルーカスっていうルイのお兄さんは、チラッとこちらを見た。
「久しぶりですね、ルイ。
なかなか実家に顔を見せないので心配していましたよ。
今は、転生者の子供の世話をしているとか……。
まったく。何をやっているのかと思ったら、呑気でいいですね」
「……すみません」
はぁっ?ちょっと……何よそれ?
何の嫌味を言っているの?
ルイに対して呑気とか……失礼じゃない?
ため息混じりにそんな風に言ってくるので驚いた。
そういえばルイは、自分の家族とあまり仲良く無いんだっけ……。
エリート一族なだけに、心を読める能力を馬鹿にしているとシンから聞いていた。
すると、それに反応したのはキラ君だった。
ルイの後ろに隠れていたがパッと出てきた。
髪を逆立てて怒っていた。
「おい、貴様。ルイに対して失礼だぞ!?」
「うん?あなたは……もしかして転生者の?
あのけがわらしい獣族の皇族だったのに、キョウ様のご厚意で転生したという……」
「誰が、けがわらしいだ!!
誇り高い獣族を馬鹿にするな」
あまり自分の一族をよく思っていないキラ君だったが
やはり他人に馬鹿にされたのは、嫌だったのだろう。
それもそうだろう。自分の本来の一族だし。
だがルーカスって人は、嘲笑う。
「誇り高い?笑わさないで下さいよ。
誇り高いと言うなら妖精族でしょう。
汚れた獣の血が、キョウ様率いる妖精族に負けるなんてありえませんからね。
荒々しい性格は、やはり獣族の血が残っているのでしょうか?愚かな……」