そ、そうなの!?
ルイの家庭事情を聞いて驚いてしまった。
一族全員……正妖精か。
人間界で言うなら家族全員が名門学校出身とか、偉い職業についているエリートってことだろう。
確かにルイもエリートだよね。
心を読める特殊能力を持っているし……。
「まぁ、でも……両親や兄らは、能力が高かった分、
ルイは、劣等感を持っていたみたいだけどな。
心を読める能力を持っているのは、アイツだけだし
読めるだけで何の役にも立たないと決めつけられて、蔑ろにされてたみたいだし」
「えっ?そうなの!?」
酷い……ルイだって優秀なのに。
私は、ルイの家族に腹を立てた。
彼が心を読めるから私もキラ君も赤ちゃんの頃に話を通じて助かっていたのに。
するとキラ君は、それを聞いて怪訝そうな顔をしていた。
「……何だよ?それ……それだと結局。
妖精族も獣族と同じじゃん。全然平和じゃねぇーし。
弱い奴は、馬鹿にされる」
キラ君……!!
獣族と妖精族のことを比較していた。
確かに。これだと争いになりかねない。
ルイは、争いを好まない性格だからいいけど……。
私もルイの一族に不信感を抱いた。
「何処でも小競り合いぐらいはあるもんだ。
しかし妖精界は、それを決めるのはキョウ様だ。
だからキョウ様は、ルイに役割を与えた。
お前らを育てる役割と敵の情報を読み取る役割だ!
これは、ルイしか出来ないことだからな。
それに俺との相性もいいしな」
私達を育てる使命……?
あ、だからルイは、あの時にそう言っていたのか。
それぞれ役割を与えられると……。
それに私を育てるのは、光栄だと。
もしかして、家族の事があってなおさらそう思えたのだろうか?
そう考えると複雑な気持ちになった。
「それに……ここを与えたのもキョウ様だ。
『いずれここが役に立つ時が来る。
良い心と才能を伸ばすには、そうなるように用意するのも大人の役割だと』と言っていた。
お陰でルイは、家族とも離れて開放的になれたみたいだしな。だからキョウ様には、誰も逆らわない」
なるほど……ルイの言葉は、そこにあるのね。
例え小競り合いがあってもキョウ様が、それを定めて
それに合った環境を整えてくれる。
だから大きな争いもならないし、平和なのね。
ルイは、あまり家族の事を話さないし、シンのように実家に関わろうともしない。
それは、そこに関係しているのか。
複雑な環境に心配になり、今が安心して暮らせるなら良かったとも思った。
人によっては、家族環境が違うものだし……。
するとシンは、ハッとした顔をしてきた。
「はい。だからキョウ様の慈悲には感謝しております。
私に、こんな素晴らしい役割を与えて下さったことを
そしてカレン、キラ。ありがとうございます……」
そう言って私とキラ君を抱き締めてくれた。
照れくさくもあり、嬉しかった。
ルイのぬくもりは、好きだ。お母さんみたいで優しいから……。
しかし、波乱なことは起きるものだ。
新年を迎えた頃、思いがけない招待状が届いた……。
「えっ?カレンとキラを新年会に招待ですか!?」
新年会……!?
私は、その事を聞いて驚いた。
もちろん、私だけではない。ルイやシンもだ。
「……何だよ?それ……」
「あのね。年に1度行われる新年会で
キョウ様と一緒に食事が出来る特別な席なの。
選ばれるのは、その年に活躍した正妖精のみなんだよ!」
私は、必死に説明した。
新年に行われる席なので、限られた正妖精しか出席が出来ない。
しかもキョウ様や精霊四大臣も見える。
そのため選ばれた妖精は、名誉なことだと言っていた。
ルイは、私が居たし、シンは、めんどくさいからと前もって選ばれないように話をつけているらしい。
そんな席に何故、正妖精でもない私とキラ君を?
「それが何で俺まで?」
「分からない。私も初めて呼ばれたし」
何故?と言われると疑問が残るが、行かないと失礼だし。
それに精霊四大臣は、リズさん以外会ったことがない。
偉いが怖い人だと聞くし……緊張するなぁ。
「俺は、行きたくない」
「そう言わず。私も一緒に行きますから」
ルイがキラ君を説得していた。
私も何だか不安になってしまうのだった……。