前は、キラ君が獣族の皇子様だったからか
壁を作り笑顔を見せてくれなかった。
 キラ君も自分に壁を作り、誰かと関わろうともしない。
それがクールにも見えたが寂しそうにも見えた。

 だから、こうやって皆と遊べたり
笑顔を見せてくれるようになったことが嬉しい。

「何だよ……?急に笑ったりして?」

「別に~早くクラスに戻ろうよ?
早くしないと掃除の時間が遅れちゃうよ?」

 私は、自分の気持ちを秘密にした。
言うのが恥ずかしかったからだ。
 そして校舎の中に入って行った……。

 校舎に入るとクラスの掃除をする。
そして4時間目や5時間目の授業をして一緒に帰宅した。
 帰りは、シンが迎えに来てくれた。
自宅に着くと元気に「ただいま~」と言う。
 するとルイが出迎えてくれた。

「お帰りなさい。おやつは、冷蔵庫にありますよ。
私は、これからシンシアおばさんのところに行ってきますので」

「おふくろのところ?どうかしたのかよ?」

「久しぶりに私の作ったプリンが食べたいと連絡を頂いて、届けに行ってきます」

「おふくろ。息子の友人をこき使うなよ……」

 ルイの言葉にシンは、ため息を吐いていた。
ルイは、クスクスと笑った。

「新種のハーブが開発出来たみたいなので、ついでに
少し頂いて来ます。食用のハーブらしいので」

 新種のハーブ!?
それにシンシアさんのところに行くなら私も行きたい。
 私は、ハイハイと手を挙げた。

「それなら私が届けてあげる。
新種のハーブも一緒に貰ってくればいいんでしょ?」