「で、ですが……殺すなんてあんまりです。
せめて救いの手を差し上げるべきなのでは……?」

 いくら罪が重くても簡単に殺すなんて可哀想過ぎる。
私は、そんな姿を見たくないと思った。
 それが逆らうことになったとしても……。
だが、その態度にキルア様の怒りに触れる。

「カレン。小娘の分際でキョウ様に楯突く気か!?」

「キルア……良い。私は、別にこの者を殺したい訳ではない。
 キラよ……私は、お前の本心を知りたいのじゃ」

 本心?どういう意味だろうか?
私は、不安に思いながらチラッとキラ君を見る。
 ルイに抱っこされているキラ君は、複雑そうな表情になっていた。
 すると、それに対して怒る第4皇子。

「ふ、ふざけるな。こんな裏切り者に俺の命を預けてなるものか!?
離せ。お前ら全員俺の力で切り刻んでやる……」

『だう!(黙れ)』

怒りをぶちまける第4皇子に対して言葉を出したキラ君。
すると、どういうことだろうか?
また、あの時みたいに全身がピリピリしてきた。
 言葉に重みがあるようにズシッとした。

『あう……だう……ああう(大人しく従え。我々に二度と逆らい狙うな)』

 言葉を続けるキラ君。すると第4皇子は、大人しくなった。
それどころか「仰せのままに……」と言ってきた。
 まるで操られているかのようだった。
あ、まさか……!?

「ほう……『悪魔の声』か。
これは、また面白い。その能力は、獣族の皇族の中でも、特別な者しか扱えないものじゃ」

 扇子で口元を隠しながらもクスッと笑うキョウ様。
やっぱりその力は『悪魔の声』なんだ!
 その能力は、一度聞いた者の思考を奪い取るだけではなく、従わせることが出来るらしい。
 まさに悪魔みたいな力だ。

「その能力は、発言した者の意見を従わせることが出来る故に
もう第4皇子は、二度と逆らうことは出来ないようじゃな。
 良かろう。処分は、それに免じて許してやろう」

「本当ですか!?ありがとうございます」