「どうやら最初は、カレンを狙うはずだったが
私を見つけてターゲットを変更したみたいだのう。
馬鹿なことを……そのせいで見つかるとは」
キョウ様は、扇子を広げて口元を隠すと、ため息混じりにそう言っていた。
「その者をどうなさる気ですか?」
「どうしたものかのう……。
別に第5皇子も絡んでいたようだがその者は、捕らえ次第に処分させた。
この者には、事情を聞くつもりで生かしておるが、
なかなか口を割らなくてのう。
キラよ……そなたは、これをどうしたい?」
キョウ様は、キラ君に残酷な質問をしてきた。
どうしたいと言っても、キラ君にとったら半分でも血の分けた兄弟だ。
そんな質問は、辛すぎる……。
キラ君は、動揺していた。
言葉に出てこないでいると、イタチである第4皇子が目を覚ました。
「は、離しやがれ。俺を誰だと思っているんだ!?
あ、キラ。おい……俺様を助けろ!」
手足をバタバタして助けを求めてくる第4皇子。
こんな状況なのに、何だか偉そうだった。
「キラ。聞いているのか!?
貴様……獣族を裏切る気か?弟のくせに。
妖精族に成り下がって恥ずかしくないのかよ!?」
「うるさい。キョウ様の御前だぞ!
大人しくていろ」
あまりにも騒ぐからキルア様が第4皇子のイタチの身体を踏みつけて静止させた。
痛がる姿を見て可哀想に思えてくる。
「や、やめてあげてください。可哀想です……」
私は、必死に止めようとした。
いくら何でも、あんまりだと思った。
「だがコイツは、キョウ様に危害を加えようとした。
そんな愚か者は、死を持って償わないとならない」