しかし真ん中ぐらいになると1人に抜かれそうになる。
くっ……負けてなるものか!!
 私は、追い上げようとスピードを上げた。
よし、抜け切れた。そのままもう1人……。

 だが、ゴール近くで転んでしまった。
靴の先が地面に引っ掛かり派手に転んでしまう。
 い、痛い……。痛さで涙が出そうになった。
必死に起き上がりまた走ろうとした……その時だった。
 凄い突風のような強い風が出てきた。

 驚いていると風は、段々と渦を巻くように変化していく。
これは、竜巻!?
 その竜巻は、大きく来賓者のところに向かうように進んでいく。

 そこには、キョウ様が!?
私は、唖然としながら見ていると周りは、大騒ぎだ。
 しかしキョウ様は、扇子で顔を隠していても冷静な面持ちだ。

 キョウ様は、扇子を左手に持ち替えると右手を少しずつ上げた。そして指をパチンッと鳴らした。
 そうしたら竜巻は、何かに弾き返されて威力を落とし小さくなっていく。
 結界でも張ったのだろうか?

 するとキルア様とセイ様が立ち上がった。
そして席を外す。どうしたのかしら?
 周りもざわざわと騒ぎになってしまった。
私は、唖然としていた……。

 竜巻は、気候の影響となり、しばらく様子を見てから
再開することになった。
 本当に気候のせいなのだろうか?
明らかにキョウ様を狙っていたように感じた。
 ただ事ではない気がする……。

 その後は、無事にダンスもやり遂げて運動会は、何事もなく終わった。
 しかし、その後。キョウ様から呼び出しがあった。
 シンやルイ、キラ君もだ。
呼び出し場所は、あの洞窟だった。

 キラ君との秘密基地だった場所だ。
今だと苦い思い出しかなく近づいていない。
 中に入ると不思議と洞窟の中なのに明るくなっていた。

 そこには、縄でしばられたイタチが居た。
わぁ~イタチだ!!と喜んでいるとキラ君は、何かに気づいたように真っ青になっていた。

「……このイタチは、獣族の第4皇子ですよね?」

 代わりにルイが答えてくれたが。
えっ?第4皇子って……キラ君のお兄さん!?
 するとキョウ様は、クスッと笑いキラ君を見る。

「そうじゃ。この者が竜巻の犯人。
獣族の第4皇子じゃな? キラの兄上であろう?」

 その問いに言葉を失くすキラ君。
さらに真っ青になっているのを見ると間違いないのだろう。