転生前もあまり人やモノに興味を示さなかったキラ君。
 ずっと外の景色を眺めていた。
外が好きなのかもしれないが、他に何が好きなのか分からないままだった。
 壁が取れても感情の薄さが問題だ。

 ハァッ……とため息を吐くとシンがゲラゲラと笑っていた。
 そこは、違う意味で楽しそうだけど……。
するとルイは、反対の景色を見ているキラ君に優しく話しかけていた。

「あぁ、あそこに行きたいのですか?
 なら後で覗いてみましょう。
うん?あぁ、はい、そうですね。
 ゆったり動くから、いろんな景色が見えますね」

 “心が読める”能力を持つルイは、キラ君の言いたいことが分かる。
 私も赤ちゃんの頃は、その能力に大変お世話になったが……ちょっと羨ましい。
 私には、冷たい態度なのに……ルイには、心を許しているように見えてちょっとヤキモチを妬いてしまった。

 頬を膨らませていると、それを見てシンは、また笑っていた。笑い過ぎだから……。

 そして機関車から降りるとキラ君が行きたがった場所に行くことにした。
 海賊船のボートに乗るアトラクションだった。
意外だ……男の子だからか、こういうのが好きだなんて
 ちょっとキラ君の好きなモノが分かり嬉しくなる。

 しかし……それは、乗った後に後悔した。
補助席が必要ではなければ年齢制限がない乗り物だが
 海賊船をモチーフにしてあるため迫力がある。
爆弾が落ちるような音や波しぶき。
 そして海賊達の怒鳴り声が怖い……。

「ひいいっ……キャアッ!!」

「カレン。しがみつくな!?
心配しなくてもただの作り物だ」

「だ、だって……迫力があるんだもん」

 ビクビクしながら周りを見る。
すると後ろに座っていたキラ君がチラッと見えた。
 私の顔を見るなりニヤリと笑った。
ま、まさか……私を怖がらせがために選んだの!?

 あの笑い方……そうに違いないわ。
真実を理解すると何とも言えない複雑な気持ちになった。
 ひ、酷い……キラ君ってば!!

 しばらくして、やっとボートから降りられた。
ハァッ……散々だったわ。
 私は、深いため息を吐いた。