それから8年の時が過ぎていく……。
私とキラ君は、高校1年生になった。
 あれから平和な生活が続いていた。

 私とキラ君は、無事に正妖精になることが出来た。
九尾での活躍が評価を受けて、キョウ様から褒美に正妖精にしてもらえた。
 嬉しい……これで許可を貰わなくても外に出られる。
そして高校生活が楽しめるからだ。

「カレン。早くしろよ!
お前のせいで遅刻だろーが」

「待ってよ~キラ君。だって仕方がないじゃん。
課題のノートを忘れるなんて思わなかったんだもん」

 そう言ってきたのは、キラ君だった。
キラ君は、あれから身長もさらに伸びて今は、180cmぐらいある。さらにカッコよくなっていた。
 しかし。それよりも今は、慌てていた。
下山する時に課題に出ていたノートを忘れたことに気づいて取りに戻った。
 そのせいでギリギリになってしまったからだ。
慌てて走っていると1人の女性とぶつかってしまった。

「す、すみません」

「いえ。こちらこそ、ごめんなさい」

 慌てて謝るとその相手に驚いてしまった。
私の実の母親だったからだ。お、お母さん!?
思わず動揺する。

「カレン。早くしろよ!」

「あ、ちょっと待って。あの……じゃあ、すみませんでした」

 私は、何とか気づかれないように頭を下げた。
そして行こうと母に背中を向けた。
 すると咄嗟なのか母は、私に……。
「あ、あの……いってらっしゃい」と声をかけてきた。

 どうしようもない気持ちが込み上げてきた。
胸が熱くなる。でも、気づかれてはいけない。
 だから精一杯の笑顔で振り返った。

「行ってきます」と言いながら……。


 別の形で元気な姿を見せることが出来た。
母と私が当たり前で当たり前じゃない、叶えられなかった日常。
 私は、今日も元気に学校に通うのだった……。


END。