た、助かった……。
するとキラ君は、ギロッとクラマって人を睨み付ける。
『そのまま動くな。二度と俺やキョウ様の命令に背くな!!』
『悪魔の声』で命令した。
そうしたらクラマって人は、暗示がかかったかのように動かなくなった。
これがキラ君の本来の能力なの……!?
前にもあったが、その力の影響力は大きい。
「ど、どうなっているんだ……身体が動かない?
力が出せない……」
驚いているクラマって人にキョウ様は、クスッと笑った。
「やはり……互いの絆が力を引き出させるようだのう。
カレンの力は『無効化』じゃ。
そなたの力を極度に弱め、そのせいで『悪魔の声』の効果を高めたようじゃな」
「無効化……だと!?
あの娘の力は『増加』じゃないのか?」
「……誰に聞いたか知らないが。嘘の情報じゃな」
「き、貴様……!?」
するとキョウ様は、クスッと笑うと扇子を閉じて、
上に挙げた。
そうしたら、何処から飛んできたか分からないが、壁をすり抜けた弓がクラマの心臓を突き刺した。
刺された身体は、あっという間に全身石化していく。
「嘘の情報に惑わされ、自らの手で堕ちるとは。
愚かよのう……クラマよ」
スッと手を下げると石化したクラマって人の身体は、粉々に砕けてしまった。
死んでしまったのだろうか……?
キョウ様の圧倒的な力に私は、言葉を失った。
こうして私は、無事に解放された。
しかし、何とも言えないような悲しい気持ちになった。
獣族が招いたことだが、自らの犠牲になることで
幕が閉じることになるとは……皮肉なものだ。
キラ君の気持ちを考えると胸が張り裂けそうだった……。