湊くんのことは気になっていたけど、結局なにもできずに五日が過ぎた日のこと。

 共用乾燥機に残っていた洗濯物の名前を確認する。何時間も持ち主が取りにこないと、次の人が使えないからだ。

「加瀬くんと愉快な仲間たちじゃん。ほんと、あの子たちは……」

 洗濯物を畳んでカゴに入れ、加瀬くんの元を訪ねると、「美晴が畳んだのか?」と顔をしかめた。

「うん、そうだけど」

「男の下着を、勝手に見るなよ」

 少し赤くなっている加瀬くん。そういえば、パンツが何枚か入ってたっけ。

 他人に下着を見られたくない気持ちはわかるけど、次の子が待ってたんだもん。仕方ないじゃない。

「そう思うなら、今度は早く取りにきてね」

「うっ。まあいいや。サンキュ」

 加瀬くんはせっかく畳んだ洗濯物を乱暴に引っ掴み、後ろ手でドアを閉めた。

 まあ、お礼を言えるようになっただけいいか。成長したね。

 洗濯室に戻ろうとしたとき、廊下で寮長とすれ違った。

「美晴ちゃん、お疲れ様」

「お疲れ様です。見回りですか?」

「うん。そうだよ……」

 寮長はなにか言いたそうに、じっと私の目を見た。

「なにか?」

「いや……美晴ちゃん、土方さんとはうまくやってる? この前のデートはどうだった?」

 寮生の部屋がすぐそこにあるので、私はしっと人差し指を立てた。デートなんて聞かれたら、なんて言われることか。

「どうだったって、別に。同僚としてはうまくできていると思いますけど」

 小声でもそもそ言うと、寮長はうんうんと頷いた。

 実は、この前彼の部屋で抱き寄せられてから、私は土方さんを見ると緊張し、避けるようになってしまったのだ。