お母さん、ごめんなさい。もっと私がしっかりしていれば。

 母に対する懺悔が、涙になって溢れる。

「美晴は悪くねえ。おっかさんだって、かわいい娘のことを恨んだりしてねえさ」

 もっともっと、お母さんと一緒にいたかった。どうして大切にできなかったのか。

 失ってからでは、なにもかも遅いのに。

 嗚咽が止まらない。みっともない。恥ずかしいのに。

 しゃくりあげる私の手を、土方さんが離した。と思ったら、ふわりと温かいものに覆われた。

 涙を拭って、驚いた。なんと私は、土方さんの長い腕に囚われ、胸板に頬を押しつけられていた。

 あまりに驚愕して、思考が停止した。同時に涙が引っ込んで止まった。

 抱きしめられている。私が、土方さんに……。

「落ち着くまでここにいろ」

 彼は「元気を出せ」とか、「もう泣くな」など、余計なことは一切言わなかった。

 本当は、ずっと誰かに聞いてほしかったのかもしれない。母への想いを。

「おっかさんのために、幸せにならねえとな」

 優しく髪をなでられ、体中が温かくて、落ち着……かない。ドキドキと激しい鼓動が彼に伝わらないか、心配になるほどだ。

 でも、嫌じゃない。もう少し、こうしていてほしい。

 私は彼の言葉に甘え、そっと目を閉じた。