掠れた笑い声。無理をしているのがわかる。

 帰れるものなら、彼はすぐに幕末に帰ることを選ぶだろう。たとえ、新選組にどんな結末が待っていようとも。彼は近藤勇のために、新選組のために、生きた人なのだから。

「……帰れるといいですね」

 別に他意はなかった。土方さんが望むようになればいいと思った。

「ああ」

 土方さんは目を伏せた。幕末に残してきた、あまりにも多くのものを思い出しているのだろう。

 なぜか胸が痛む。若すぎた彼らの死について考えすぎたせいかな。

 涙が零れそうになって、苦し紛れにすんと鼻をすすった。

「風邪をひくといけねえ。行くか」

 土方さんに促され、私たちは隣り合った部屋に、それぞれ戻った。