消灯後、私は自室でスマホをいじっていた。
「ええと、新選組……と」
今思えば、どうして先にこの作業をしなかったのだろう。
土方さんをこの寮で保護するにあたり、新選組の歴史に詳しくなっておくことはやはり重要だったのだ。
この前はさらっと軽く調べる程度だったけど、沖田くんという爆弾が出現したことで、そうも言っていられなくなった。ネタバレの予兆を感じた段階で防がなければ。
だって、幕末で江戸幕府は亡びたわけだから。幕府の管轄だった新選組が穏やかな末路を辿ったとは思えない。
私は電子書籍で新選組の入門書と漫画を購入し、読み始めた。漫画は「史実に忠実」とレビューに書かれているものを選んだ。
「うへえ……やっぱり土方さんはイケメンキャラなんだなあ」
農家に生まれた土方さんが、後の新選組局長になる近藤勇や沖田総司らと武士になることを夢見て京都に上るまでは、わくわくしながら読み進められた。が……。
その後がすごい。文字通り、血塗られた歴史だ。
有名な池田屋事件──天皇を誘拐しようと企む尊攘派浪士の会合に踏み込んで、取り締まった。激しい戦闘になり、多くの死傷者が出た──とその直後の禁門の変あたりまでは、新選組も調子がよかったようだ。