「僕が沖田総司の生まれかわりです。なんと、今も同じ名前なんですよ! すごくないですか?」
沖田総司。その名を聞いて、ピンと来た。たしか、土方さんの略歴を見たとき、彼の名前があった。新選組の一番隊隊長だ。肺結核を患い、たったの二十五歳で命を落とした、夭折の天才剣士。
「生まれかわり……? 俺より先に、死んだだと?」
眉間に深く皺を寄せ、信じられないものを見る目で沖田くんを見る土方さん。
「そうですよー。それから生まれ変わったんです。土方さんだってそうでしょ? いやー、びっくりだな。僕は小さい頃から前世の記憶に悩まされ続けてきたんだけど、土方さんはいつ頃思い出したんですか?」
飛び跳ねそうな勢いで、土方さんの手を握る沖田くん。
ちょっと待って。土方さんは転生したわけではない。でもここで込み入った話はできない。既に近くの席に座っている寮生や、おばさんが不審げな顔で見てる。
「ちょっと待って、落ち着いて沖田くん」
彼は私など、視界の端にも入れていないようだ。
「土方さんも残念でしたね。最後は陸軍奉行並にまで──」
「ちょーーーーっと待ったーーーーー!」
私は声を張り上げ、両手を広げた。
そんなことは初めてだったので、みんな何事かという顔で私に注目した。
視線を浴び、顔に熱が昇る。しかしそんなことを言っている場合ではない。