そうこうしているうちに、最後の寮生が見えてきた。金茶色の髪。沖田くんだ。

「おはよう、沖田くん。今日は遅かったね」

「あーうん。おはよ。眠くてさあ……」

 本当に眠そうな目をこすり、開け……彼は口を開けたまま固まった。かと思えば、突然トレーも持たずにカウンターに乗り出すようにもたれかかった。

「土方さん⁉」

 うつむいて作業をしていた土方さんは、名前を呼ばれて顔を上げた。沖田くんの顔を見た途端、驚きの色が濃くなる。

「お前、総司か? いったい、なんだってこんなところにいやがる。その髪はどうした?」

「土方さんだって! わああ、うれしいなあ。会いたかったですよー」

 満面の笑みではしゃぐ沖田くん。こんな彼、入寮してから初めて見たかも。

 ちょっと待てよ。沖田くんの知り合いってことは、土方さん、やっぱり現代の人なのでは?

 土方さんの袖をつかんだとき、沖田くんが信じられないことを口にした。

「まさか土方さんも転生していたなんて。僕の方が早く死んじゃったから、心配していたんですよ」

「転生……?」

 ってことは、生まれ変わり?

 土方さんを見ると、彼もなにを言われているのか、わからない様子だ。