「そろそろ、会いに行くか……」

 兵士から視線を外し、空を見上げる。

 晴れ渡った、美しい青空だった。温かく穏やかに、この世から離れつつある俺を包み込んでくれる。

 空はいつも変わらない。日野にいたときも、京にいたときも、函館でも、未来でも、空とお天道さんはいつも変わらずそこにあった。

 そうだった。

 彼女の名前は、美晴といった。ちょうどこの空のような、優しいおなごだった。

 「み、は……」

 手を伸ばすことすら、かなわなかった。

 俺は彼女の笑顔を思い浮かべながら、意識を手放した。