「やっと言ってくれたな」

 もう我慢はできなかった。私は嗚咽を漏らして泣いた。

 最後だから、笑っていたかった。でも私は、そこまで器用じゃない。

 だって、好きだったんだもの。大好きだったんだもの。

「ちょっと待っていてくれよ。俺ぁ地獄に落ちるだろうから、時間はかかるかもしれねえ。だが、俺は俺の人生を全うしてから、必ずお前に会いにくる」
「はい……」

 沖田くんや原田先生は転生した。でも彼がこの記憶を持ったまま生まれ変われるかどうかは、私にはわからない。

「来世か、そのまた次の世になるか、果たして人間に生まれ変われるかどうかもわからねえ。虫でも、獣でも、野の草でも、なにになっても、きっと会いにくるから」

「はい」

「必ず、また会おう」

 黒真珠の瞳が輝いた。最初から私をとらえて離さなかった優艶な光が、瞳の中で星のように瞬いていた。

 彼が言い切るのを待っていたように、光の粒が火の粉の如く舞い上がった。

 土方さんはとうとう頭のてっぺんまで、光に飲まれた。光は夜の闇の中で弾けながら消えてしまった。私はその光の粒をかき集めるように抱きしめて、泣いた。


 さようなら、土方さん。
 ありがとう。ありがとう。
 大事なものをたくさんくれた。
 私はあなたを忘れない。