二人で相談した結果、加瀬くんのために警察を呼ぶのはよそうということになり、討ち入りを決行した。沖田くんを誘ったら、土方さんの刀を持って小躍りでやってきたようだ。

 本当に、みんなが無事でよかった。いくら強くても、相手の人数や武器次第では、怪我をすることだってじゅうぶん考えられたのだ。

「帰りましょう、土方さん」

 早く寮に帰って、加瀬くんの無事をみんなに伝えなくちゃ。

「そうだな。美晴の傷も手当しねえと……」

 言葉を切った土方さんが、片手を離した。見上げると、彼も天を見上げていた。

「……雨だ」

 生ぬるい風は、やはり雨の前兆だったのだ。もともと空が暗かったから、黒い雲が見えづらかったのか。

 ぽつり、ぽつりと、小さな雫が頭の上に落ちてくる。それはすぐぱらぱらとした小降りになり、手で頭を覆った途端に本降りになってきた。

「うわあ! 早く帰りましょう」

 土方さんは刀を持っている。しまったな。こんなの持っていちゃ、タクシーに乗せてもらえないかも。刀だけでも、原田先生に運んでもらえばよかった。