「頭に傷ができてるじゃねえか。もっとひどい目に遭ったら、どうするつもりだったんだ。お前はおなごなんだぞ」
「私なんか、高校生に相手にされませんよ」
「お前は正真正銘のぼんくらだな。俺がかわいいって言ってんだから、早く自覚しろ。もっと、自分を気遣え」
けなされているんだか褒められているんだかわからなかったけど、土方さんの温かい腕の中にいると、とても安心できた。
「はい。助けに来てくれてありがとうございました」
加瀬くんも見つかってよかった。怪我がどの程度かわからないけど、早く元気になりますように。
お礼を言うと、土方さんはきゅっと強く私を抱きしめた。
「っとにお前は。連絡が取れなくなって、俺がどれだけ心配していたと……」
彼が言うには、寮長が「美晴ちゃんの携帯に電話をかけても繋がらない、まだ戻ってこない」と土方さんに連絡したのがきっかけだったらしい。
ショッピングセンターから寮に戻るルートで、怪しい場所をピックアップしたのは原田先生だ。シャッターに落書きされている倉庫を衛星写真で確認し、ピンときたという。