「肩ぁ外しただけじゃねえか。加瀬をこんなにボロボロにしといて、それくらいで騒ぐんじゃねえよ」
「肘も外してやったら。これが本当の肘肩どうしよう、なんてね」
土方さんの名前とかけた沖田くんのギャグは不発だった。誰も笑っていない。いや、笑える状態の人が残っていないのだ。リーダーを除く全員が、床に伸びていた。
「終わったな」
誰も異論を唱えなかった。敵の方も、戦闘を続ける意思はないらしい。
「いいか、今後一切加瀬に関わるんじゃねえ。もし関わったら、俺が成敗してやる。全員この蔵に逆さ吊りにして、足に五寸釘刺して蝋燭立ててやるからな」
どこかで聞いたようなセリフ。リーダーは青い顔でこくこくとうなずいた。土方さんは戦意喪失しているリーダーの頭を、脇差でコンと叩いた。眼球を上転させ、彼は意識を失った。
「さて、加瀬を病院に連れていくか。俺の車の後部座席に乗せよう。総司、一緒に来い」
倉庫の外に出ると、道路脇に寮の用事で使う白い軽自動車が停まっていた。四人乗りだろうが、加瀬くんが後部座席に横になったら、三人で満車だ。