「僕たちの心配なら、いらないよ!」

 沖田くんがバットで敵のお尻を殴る。敵は前のめりに倒れた。

「だって、沖田くんだって門限が」

「そんなこと言ってる場合か!」

 土方さんの声が飛んできた。彼は次々に襲ってきた男たちを右に左に打ち払う。そんな彼の背後で、なにかがきらりと凶暴に光った。

「土方さんっ!」

 私が叫ぶより早く、光が筋を描いて土方さんの脇腹をかすめた。しかし。

「ぐっ……」

 呻いたのは、ナイフを持っていたリーダーだった。彼が土方さんを背後から襲ったのだ。

「どうした。斬るつもりだったのか。斬れねえだろ」

 脇でリーダーの腕を抱えた土方さんは、もう一方の手でリーダーの手首を打った。ナイフがころりと地面に転がる。すかさず沖田くんがそれを拾った。

「人を斬るってえのはな、簡単じゃねえんだ。本当に殺す覚悟もねえやつが、そんなものを振り回すんじゃねえ」

 土方さんがリーダーの腕をつかんだまま背中に回す。ごきっと嫌な音がしたかと思うと、リーダーが悲鳴を上げて地面に倒れ、のたうち回った。