ずかずかと倉庫内に踏み入る三人から、男たちはじりじりと距離をとる。

「さて。その二人を返してもらおう」

 土方さんは私たちの方を見た。怪我をしているからか、一瞬顔をしかめたけど、次の瞬間には笑ってみせた。

「おい、加瀬。やるじゃねえか。見直した」

「え……?」

「見ず知らずのおなごを守ったんだってな。ガキのくせによくやった。そういうヤツは嫌いじゃない。私の闘争を許さず──寮規違反だが、許してやろう」

 加瀬くんは拍子抜けしたような顔で、土方さんを見ている。まるで、叱られることを覚悟していた子供のような顔で。

「なんだよ。お前ら、誰だよ。新選組とかふざけるんじゃねえよ」

 わあわあ怒鳴るリーダーを見下ろし、土方さんは薄く笑った。

「下郎に名乗る名はねえ」

 下郎という言葉の意味はよくわからなかったかもしれないが、侮辱だと受け取ったのだろう。リーダーは顔を赤くし、体を震わせた。

「金を持ってきたら許してやる。そっちに勝ち目はない」

「まさか、警察を呼んでやしないだろうな。こいつも就職できなくなるぞ!」

 男たちが口々に叫ぶが、土方さんはまったく怯む様子がない。他の二人も同様だ。