その数日後、学園の門前にケンカ相手の仲間がやってきた。ガラが悪いことで有名な他校の生徒であることは、彼らが着崩した制服で通っている学園を特定したらしい。
彼らが加瀬くんを狙っているのは一目瞭然だった。就職を控えた寮生を巻き込まないよう、その場は見つからないように加瀬くんたちは三人で逃げた。
寮に帰ってから、加瀬くんは「俺がひとりで話をつけてくる」と言っていたという。
ということは、今まさにそのケンカ相手と話をつけているのではないだろうか。いや、そんな事情であれば、平和な話し合いで解決するわけがない。
「完全に自業自得じゃない! ほんとにあの子ったら、門限は破るし、暴力はするし、ほんとに、ほんとにもう」
加瀬くんが誰かと殴り合っている姿を想像すると、胸が潰れそうになった。どうしてもっと、自分を大事にしてくれないの。
取り乱した私とは対照的に、沖田くんはなぜか、ふふふと笑った。