「だから、どこにも行かないでください。ずっとここにいてください」

 今度こそ、抑えきれなくなった感情が涙になって、次から次へ溢れた。

 本当はこんなことを、言うべきではないのかもしれない。

 このままでは禁門の変以降の新選組の歴史を変えてしまう。それがどれだけの大罪になるのか、想像もできない。

 私はあなたのそばにいて、笑うしかできない。そんな私でも、いいの?
私はあなたの、新しい生きがいになれるかな?

「ああ。色々心配かけたな。俺はこの世界で、お前と一緒に生きると決めた。もう大丈夫だから、泣くんじゃねえ」

 そう言われても、涙はなかなか引っ込んでくれない。

「実は、旅行から帰ってから散々考え抜いたんだ。その結果、俺はこっちで生きるという答えを出した。だから、お前を誘った。そうじゃなければ、口を吸ったりしない」

 彼は優しく私を抱き寄せる。私は迷いを振り切り、彼に身を任せた。
黄色に染まった葉が、ひらひらと私たちの上に舞い落ちた。