私を支えてくれる、大きな手。その温かさに、私の頬まで温度を上昇させられる。

 ドキドキしてるの、私だけなのかな……。


 池から続く小川が流れるさらさらという音に従い歩いていくと、明治から昭和初期の歴史的建造物がぽつぽつと建っている。見学をしながら、幕末と現代の間は多くの時間が流れていたのだということを再確認したような気分になった。

 日本庭園を抜けると、またまた大きな池が出てきた。その向こうには、見事なプラタナス並木。パリのシャンゼリゼ通りを彷彿とさせる。パリに行ったことはないけれども。

 私たちの背よりはるかに大きく、天を覆うプラタナスの葉が、黄色の模様を描く。

「こんなでかい植木は、見たことねえな」
「外国の木ですよ」
「異国は人だけじゃなくて、植木もでかいのか」

 並木道を行って帰ってきて、ふと気づいた。周りを歩く人々の中に、カップルが目立つ。

 もっとよく見ると、公園にはあちこちにたくさんのベンチが。そこここで、寄り添う男女の姿が見えた。樹木に隠された薄暗い場所では、こっそり頬を寄せ合っている者たちも。

「おい、あそこで口吸ってる」

「吸っ……。じろじろ見ちゃダメです!」

 面白そうに言う土方さんを引っ張って、並木道を後にする。そういえば、太鼓橋からずっと、手を繋いでいたことに気付く。