いくらうまく逃げたとしても、近藤さんは新選組の局長だ。なんのお咎めもなしに済むとは考えにくい。国内にいればいつか探し出されて、同じ運命を辿るだろう。だけど。

 多分土方さんにとっては、自分が辛いかどうかなんて二の次なんじゃないかと思う。自分が損をしようが、信念を曲げない。それが土方さんだ。

「無駄な時間をとらせたな。美晴ちゃんも疲れているのに」

「いいえ」

 原田先生は、土方さんの今後を案じているのだろう。自分も、新選組幹部としてつらい思いをしたから、余計に。

「これ、お土産です。じゃあ、おやすみなさい」

「おっ、おたべじゃん。これ好きなんだよね。ありがとう」

 整った顔が笑った。原田先生の笑顔で、やっとホッとすることができた。