土方さんが近藤勇さんの最期を知ってしまった翌日、修学旅行は最終日だった。
最終日は朝から奈良に移動した。京都から離れ、土方さんは少し気分転換ができたようだ。鹿せんべいを高く持ち上げ、群がる鹿を翻弄して遊んでいた。
寮生のトラブルはなく、無事に修学旅行を終えた私たちはぎくしゃくしたまま、日が暮れた後、寮に帰り着いた。
「おかえりトシさん。現代の京都はどうだった?」
原田先生がいつもの調子で話しかけてくる。土方さんはむすっとして答えた。
「悪ぃ。疲れているんだ」
彼は自分の部屋に入り、二度と出てこなかった。
「……なにかあったの?」
隣で見ていた私に、原田先生が心配そうに尋ねる。
「私が悪かったんです」
壬生寺で、私が目を離したすきに土方さんが近藤勇さんの最期を知ってしまい、ショックのあまり鴨川に飛び込もうとしたことを、ぽつりぽつりと話した。
「マジか……。まあ、仕方ないよ。ネタバレを完全に避けるなんて、無理だから」
土方さんはスマホも持っていて、彼さえ求めれば目的の情報はすぐに手に入る。私の目が届くかどうかの問題じゃない。頭ではわかっているけど、気持ちの整理がつかない。
最終日は朝から奈良に移動した。京都から離れ、土方さんは少し気分転換ができたようだ。鹿せんべいを高く持ち上げ、群がる鹿を翻弄して遊んでいた。
寮生のトラブルはなく、無事に修学旅行を終えた私たちはぎくしゃくしたまま、日が暮れた後、寮に帰り着いた。
「おかえりトシさん。現代の京都はどうだった?」
原田先生がいつもの調子で話しかけてくる。土方さんはむすっとして答えた。
「悪ぃ。疲れているんだ」
彼は自分の部屋に入り、二度と出てこなかった。
「……なにかあったの?」
隣で見ていた私に、原田先生が心配そうに尋ねる。
「私が悪かったんです」
壬生寺で、私が目を離したすきに土方さんが近藤勇さんの最期を知ってしまい、ショックのあまり鴨川に飛び込もうとしたことを、ぽつりぽつりと話した。
「マジか……。まあ、仕方ないよ。ネタバレを完全に避けるなんて、無理だから」
土方さんはスマホも持っていて、彼さえ求めれば目的の情報はすぐに手に入る。私の目が届くかどうかの問題じゃない。頭ではわかっているけど、気持ちの整理がつかない。