「御朱印帳、しおり、わあこれ新選組コーヒーですって! ねえ土方さん、見てください。洋装の土方さんがこんなにかわいいキャラクターに……」
すっかり新選組ファンと化した私の方が、グッズを前に浮き立っていた。だんだら模様とミニキャラが並んだマスキングテープのセットを手に取って見せようと振り返り──絶句した。
土方さんが、一冊の本を手に取っていた。「新選組ガイドブック」と書かれたそれを、しげしげと見つめている。
「だめっ!」
関連書籍には、ネタバレが……!
私は土方さんの開いたページを手で隠そうとした。しかし、すべてが遅いことを察した。
開かれたページには、処刑された人の首が板に乗せられ、さらされている絵が載っていた。そう、それは近藤勇のさらし首だった。
鳥羽・伏見の戦いで敗走した幕府軍。新選組は甲陽鎮部隊と名を改めるが、各地で敗戦。とうとう官軍に取り囲まれた近藤さんは、偽名を使って投降した。
しかし厳しい尋問の途中で、新政府軍の誰かが「あれは新選組の近藤勇だ」と叫んだ。正体がばれてしまった近藤さんは、斬首されてしまった。