御所を堪能したあとは、わりと近い位置にある二条城へも足を伸ばそうとした。しかし調べると、そこは大政奉還が行われた場所だった。土方さんにとってはショッキングなネタバレを含むので、二条城はスルーし、中京区壬生にある八木邸に向かった。新選組の屯所だった場所だ。

 道を挟んだ向かい側に前川邸という場所もある。そこも屯所だったのだが、今は個人宅となっているため、建物内の見学はできない。

 八木邸の門を見つめ、土方さんはまた立ち止まった。

「間違いなく八木さんちだ。あんな垂れ幕はなかったけど」

 新選組の羽織と同じ水色──正しくは浅葱色というらしい──と白の布がかかっている門には、赤字に金文字で「誠」と書かれた旗も飾られている。

「ザ・新選組って感じですね! あ、立て札は読まないでください。ネタバレ含むと思うので」

 土方さんは沖田くんや原田先生と違い、転生したわけではない。禁門の変までしか知らないので、とにかくそこに気を遣う。

「おお、この庭の石。よく総司が腰かけていたな」

 土方さんはまるで久しぶりに実家に帰ったかのように、楽しそうにしていた。