着物姿を褒められたり、初めて手を繋いで歩いたり。顔を寄せ合って自撮りしたり。

 まるで恋人のように接したくせに、今は隣に私がいてもぐっすり眠っている。

 ねえ、いったいどういう気持ちでああいうことをしたの?

 指先で彼の高い鼻をつついた。反応はない。やはり熟睡しているようだ。

 今度は頬をつんつんしてみた。

 えいえい。この幕末モテ男め。

 三回つついたところで、土方さんのまつ毛が動いた。

 突如見開かれた双眸に捕らえられ、息が止まる。

「なにしてんだよ。俺が気づかないとでも思ったか?」

 頬に触れていた手を掴まれ、ぐいと引っ張られた。なにがどうなったのか、気づいたら私の体は反転していて、上に土方さんが乗っていた。と言っても、密着はせず、四つん這いになっていた。

 彼は口を微笑みの形にし、私を見つめている。

「ほら、言ってみろ。俺になにをしようとしていた?」

 顔の両側に土方さんの手があって、逃れられない。私は震える声で答えた。

「ご、ごめんなさい。ちょっとした、イタズラ心で」

 言いながら泣きそうになっていた。私自身、いったいなにをしようと思っていたのか、はっきりはわからない。

 土方さんが起きなかったら、私はどうしていたんだろう。

「下手な言い訳だな。今からでも遅くねえ。したかったこと、してほしいこと、なんでも言ってみろ。応えてやる」

 彼はそっと私の髪を一房すくい、キスをした。

 魅惑的な視線に射貫かれ、ぞくりと肌が粟立つ。けれど、決して不快感からではない。