結局、私と土方さんは修学旅行についていくことになった。

 原田先生の話を聞いた翌日、理事長から話があったのだ。

「寮生は寮に入っているって知られたくない子もいるから、へばりついて見ている必要はないわ。頼りにできる大人が近くにいてくれるだけで、彼らの心は落ち着くと思うの」

「僕もそう思います。なにもなければ、ふたりで京都観光を楽しむだけだよ。行くといい」

 理事長が寮を訪ねてきて、寮長と一緒にそう言われたら、私たちは断ることができなかった。

「美晴も土方さんも、堂々と一緒に行動すればいいのに」

 土方さんからその話を聞いた沖田くんは、なんだか不満そう。旅行用バッグを持ってきてくれた原田先生も一緒に、土方さんの部屋に集まっていたときだった。

「寮生の中には俺たちに見張られていたくないやつもいるだろ」

 一般の生徒も一緒なので、私たちがずっと一緒に行動したら、いったい何者なんだろうと訝しむ生徒も出てくるだろう。ガイドや臨時教師と言うには危うい。