「やっぱりそうか。わかりやすいなあ」
「違います。全然違います!」
はいはい、と原田先生は苦笑した。
「認めればいいだろ。悪いことをしているんじゃないんだし」
私は黙って、うんともすんとも言わなかった。
認めたくない。だって土方さんは、私のことなんてなんとも思っていないんだもの。
今すぐにでも幕末に帰りたいはずだ。幕末に想い人でもいたのかもしれない。
「そういうんじゃないんです」
蚊の鳴くような声に、原田先生は返事をしなかった。
微妙な沈黙の中、私たちは食堂に着いた。
原田先生のためにとっておいた夕食を温めて出すと、彼は「いただきます」と言って勢いよく食べはじめた。
「うん、うまい。やっぱり美晴ちゃんが作ってくれた食事は最高だなあ」
「その味噌汁は俺が作ったんだがな」
厨房の片づけをしていた土方さんが、不機嫌そうに言った。さっきあんな話を原田先生としたせいか、彼の顔をまっすぐに見られない。
「あはは……大量に作るので、給食と一緒ですよ」
すぐに空になってしまった原田先生の茶碗にご飯のお代わりを盛り付け、差し出す。と、受け取る先生の手に指が触れてしまった。