仕事を終えたあと、私と新選組三人衆は学習室の掃除と整備にとりかかった。
「なんで僕までやらなきゃいけないんですか。これ、職員の仕事でしょ。どうせなら左之さんの歓迎会しましょうよー」
沖田くんは文句ぶーぶーだった。こういうところは現代の若者だなあと感じる。
「歓迎会か。どうせなら美味い酒と綺麗な女性がいる店で頼む」
原田先生が言うと、他の二人が乗ってきた。
「僕は焼き肉食べ放題希望!」
「俺は甘味食べ放題がいい」
沖田くんは未成年だし、土方さんは下戸だものね。
現代スイーツの味を覚えた土方さんは、非番のときにコンビニでちょこちょこ買ってきては食べている。お気に入りはモンブラン。なぜ知っているかと言うと、SNSに頻繁にスイーツを持った自撮りが載っているからだ。
「ところで左之さんはどうしてここに来たの? なにか訳アリなんでしょ?」
この寮に来るものは、職員も寮生も、なにかしらの事情があり、他に居場所がない者ばかりだ。
原田先生はカラーボックスを組み立て終え、沖田くんに向かって屈託なく笑った。
「実は前の学校をクビになって」
「ええ? なにしたんですか」