周りの目があるから新選組の話は出てこないけど、お互いにすごく喜んでいるのがわかる。

「左之さんこそ! すっかり現代風のイケメンじゃないですか。お腹の傷はどうなったんですか」

「ああ、さすがにあれほどのものはないけど、盲腸の手術痕ならあるぜ」

 幕末の原田左之助は、若い頃「切腹の作法も知らぬ若造め」とバカにされ、自分で刃物をお腹に突き立てたという逸話がある。そんなバカなことで死ななくてよかったよ。

 ぺろんと自分でシャツの裾をまくりあげ、お腹を出す原田さん。男性の裸を見慣れていない私は、慌てて目を逸らした。

「おい、お前ら。話すなら左之の部屋に行け」

 不機嫌そうな顔でエプロン姿の土方さんが言ってきた。彼にはまだ大量の食器の片づけが残っている。

「はーい」

 おとなしく従ったふたりは、エプロンをした土方さんの後ろ姿をクスクスと笑いながら見送っていた。