夕食後、食堂に現れた原田先生は、寮生に自己紹介した。
「寮専任教師の原田左之助だ。勉強でも進路でも、なんでも相談してくれ。ちなみに得意科目は女性の扱い方。よろしく」
勉強に興味がなさそうな寮生も、原田先生には興味がわいたらしい。好意的な拍手が響いた。土方さんのときとは違う。先生が優しそうだからか、土方さんが来てから寮生自身が多少丸くなったからなのか。
「よかった。私たちに進路相談されても、就職をすすめるしかできなかったもの」
成瀬さんが笑顔で原田先生と握手を交わす。
「そうなんだよな。原田先生が来てくれて、僕たちもうれしいよ。急にイケメンが増えて、美晴ちゃんもうれしいでしょ?」
波多野さんがからかってくるから、私は目で寮長に助けを求めた。
「波多野さん、それはセクハラですよ~」
「わあ、ごめんなさい」
謝った波多野さんが大げさで、思わず笑ってしまった。
「美晴! どうして僕にすぐ教えてくれなかったのさ!」
部屋に帰る寮生の間を縫って、沖田くんが詰め寄ってきた。
「もしや総司か? おうおう、色気づきやがって」
原田先生はうれしそうに沖田くんをヘッドロックし、金茶色に染められた髪をぐりぐり撫でる。そうしていると、長身の沖田くんが小型犬に見えてくるから不思議だ。