緊張しつつコスプレさんを寝かせた部屋のドアを開け、隙間から中を見る。コスプレさんはまだ横たわっていた。
まさか、死んでないよね? さっきまで寮長がいたもん、大丈夫だよね?
おそるおそる近づき、ベッド脇から声をかけた。
「もしもし。朝ですよ。大丈夫ですか」
するとコスプレさんは、ゆっくりとまぶたを開けた。よかった。生きてた。
彼は数回瞬きをし、突然こちらをぎろりとにらんだ。安堵から一転、どきりと胸が跳ねあがる。
「……てめえ、誰だ。ここはどこだ」
言いながら上体を起こす彼。顔の作りがいいせいか、にらむ顔に凄みがある。しかも「誰だ」の「れ」が巻き舌になっていた。
初対面でこの態度。怖いけど、怯んでばかりもいられない。彼も混乱しているのだろう。ハラハラしつつ、質問に答える。
「えっと……ここは私立及川学園の学生寮です」
「は? 聞いたこともねえ。この部屋はいったいなんだ。お前の服は異国の物か。……さては、俺を異国に拉致したな⁉」
突然声を荒らげた彼は、左手で自分の周辺を探った。私を射抜いていた鋭い視線が、そのうち宙を泳ぎだした。
彼は空気を掴んだ左手を見て、叫んだ。



